「承知しました」「承知しております」など、丁寧な返答としてよく使われる「承知」という言葉。普段から何気なく使っている一方で、その言葉の由来や意味の深さまでは意外と知られていません。この記事では、「承知」の語源や歴史的背景、現代での使い方まで、やさしく解説します。
なぜ「承知」と言うのか?漢字の成り立ちと歴史
「承知」は、漢字「承(しょう)」と「知(ち)」から成り立っています。
- 承:受ける、引き受ける、承る(うけたまわる)など、目上の人から何かを受け取る意味を持つ謙譲語的な成分。
- 知:知る、理解する、認識するという意味。
この2つが組み合わさることで、「目上の人の意向を受け止め、理解して従う」という丁寧な意味合いを持つ言葉になっています。
古くは平安時代の文献にも登場し、当初は主に貴族や公家社会で使われる格式高い言葉でした。「承知いたしました」と言えば、ただ「分かりました」ではなく、「敬意をもって受け止めました」という意味合いが含まれていたのです。
実は誤解されている由来と意味の広がり
「承知」は、現代では主に「了解」や「理解」の丁寧な言い換えとして使われていますが、本来の意味はもっと広く、文脈によって使い分けられます。
「了承」「理解」「許可」などの意味を含む
- 了承:内容を受け入れて認める
例:「その件、承知の上で進めております」 - 理解:事情や内容を把握している
例:「お客様のご意見は承知しております」 - 許可・同意:ある行動を認める、または拒否する
例:「無断での利用は承知できません」
つまり、「承知」には単なる「わかった」以上に、「受け入れる」「認める」「理解する」など、幅広い意味が含まれており、その背景には日本語特有の敬語文化が色濃く反映されています。
現代における使い方と注意点
現在の日本語において、「承知しました」はビジネスやフォーマルな場面で最もよく使われる敬語表現の一つです。特に、目上の人や取引先への返答として使うと、礼儀正しさが伝わります。
適切な使い分け
- 承知しました:丁寧かつ一般的。メールや口頭どちらにも使える。
- 承知いたしました:より丁寧。書面や改まった場面に最適。
- 承知しております:進行形や過去の情報を把握している際に用いる。
一方で、親しい間柄やフランクな会話では「了解です」「わかりました」の方が自然です。「承知です」は少し堅すぎたり、場合によっては違和感を与えることもあるため注意が必要です。
また、「承知できません」という表現は、ビジネスシーンでの断り文句としても定着しています。直接的に「ダメです」と言うよりも柔らかく、丁寧な拒否のニュアンスを伝えるのに役立ちます。
このように、「承知」は日本語の敬語文化に根差した奥深い言葉であり、場面ごとに適切に使い分けることで、円滑なコミュニケーションを築くことができます。