岐阜県・飛騨高山地方で古くから親しまれている郷土人形「さるぼぼ」。真っ赤な顔に手足を広げた特徴的な姿で、観光地のお土産としても有名ですが、一部では「怖い」という印象を持つ人もいるようです。この記事では、「さるぼぼ」の名前の由来や歴史的背景とともに、なぜ「怖い」と感じられるのか、その理由もあわせて解説します。

「さるぼぼ」の名前の由来と意味

「さるぼぼ」という名前は、飛騨地方の方言に由来しています。

  • 「さる」= 猿、または「去る(悪いことが去る)」という意味の語呂合わせ
  • 「ぼぼ」= 飛騨弁で「赤ちゃん」「赤ん坊」を意味する言葉

つまり、「さるぼぼ」は「猿の赤ちゃん」「厄が去る赤ん坊」といった意味を持ち、「災いが去るように」「子どもが健やかに育つように」という願いを込めて作られる守り人形だったのです。

もともとは飛騨の女性たちが、子どもの健やかな成長や家庭円満、安産祈願を願って作る手作りの人形でした。

さるぼぼが「怖い」と感じられる理由とは?

可愛らしい縁起物として人気のさるぼぼですが、特に初めて見た人や子どもたちの中には「ちょっと怖い」と感じる人もいます。なぜそのような印象を与えるのでしょうか?

主な理由は以下の通りです。

  • 表情がない(顔に目・口がない)
     多くのさるぼぼには顔の表情が描かれていません。これが逆に「無機質で怖い」「魂が入っていそう」と感じられることがあります。
  • 赤一色の姿
     全身が真っ赤なさるぼぼは、一見するとインパクトが強く、「不気味」「異様」と思う人もいます。実際、赤色は魔除けの色とされており、病気や災厄から身を守るための色なのです。
  • 昔ながらの民間信仰がベース
     さるぼぼは単なるおもちゃではなく、呪術的・信仰的な意味を持つ人形でもあります。このような背景を知らないと、何か不思議で得体の知れない存在のように見えることもあるでしょう。

しかし、これらの要素はすべて「家族を守る」「災いを除ける」といった祈りの形なのです。

現代のさるぼぼとその進化

最近では、伝統的な赤色以外にも、青・緑・ピンク・黄色などカラフルなさるぼぼが登場しており、それぞれに異なるご利益(学業成就、恋愛成就、金運など)が込められています。

また、表情を描いた「笑顔のさるぼぼ」や、ぬいぐるみ風のデザインも増え、「怖い」という印象は和らいできています。

さらに、パワーストーンと組み合わせたお守り型や、スマホグッズ化など、時代に合わせた進化を続ける「現代のさるぼぼ」は、観光客や若い世代にも人気を広げています。

「怖い」と感じるその姿の裏側には、家族を思う優しさと、古くからの日本人の祈りの文化が詰まっているのです。